肉球はアポロチョコ

猫初心者と猫の生活

準備万端

私はトリーグルと運命的な出会をする2年も前に、猫トイレと猫砂セットとキャリーケースを購入していた。

なぜなら、子猫とばったり出会った時に『キャリーケースが無いせいで医者に行くのが遅れた!』とか、『トイレが無いせいで、猫ちゃんがトイレ出来ない!!』なんて、トラブルを回避してスマートな猫との日々を過ごす為だ。

 

しかしながら闇雲に地域猫に声をかけては警戒され、友人からの里親募集には、メッセージが入っている事に二日間気がつかず、慌てて連絡をすると「もうとっくに里親が決まったよ」と冷たく言われ、気を逃し続けた。

 

元々、大雑把で要領も悪い私は、猫にモテない日々を過ごしては、『猫が居たらここにトイレを置こう。』『きっと拾ってすぐはお腹が空いているだろうからご飯は買っておこう、子猫用はあまりスーパーで扱ってないからな』と、空想に耽り、近所の地域猫を見かけては迷惑顔している猫の写真を撮る日々だった。

 

迷子の猫が出た時に、近所の地域猫に「◯◯って、猫が居たらおうちに帰るように伝えて、お母さんが心配してるよ」って、言伝を頼むと、猫のコミュニティで伝わって迷子の猫が帰ってくるという話を聞いた事はあるだろうか?

 

猫はこんな複雑な言葉をちゃんと理解して伝言出来るのだ。

 

ならば、「住む家に困ってる子猫居ない? 私のうちがあるから是非おいでくださいって伝えて」と近所の地域猫に伝えてみた事が何度かあったが、もちろん訪ねてくる猫は皆無だった。

 

猫には少々言葉が複雑だったようだ。

 

2年間お茶を挽いていたキャリーケースとトイレが、実際に使用されるとはまさに感無量だった。

キャリーケースやトイレの容器に降り積もった埃さえ、待ち望んだ証であり歴史であるのように思た。

トリーグルを家に迎え、遊べと騒ぐなかトイレに砂を入れた時、嬉しさとやっとこの時が来たのかと目頭が熱くなったのを覚えている。

 

猫が欲しいと言い続けて20年、もう限界と準備を虎視眈々と進めて2年。

やっと猫と一緒に居ると思うと、パソコンに向かってないでトリーグルと過ごすべきでは?と今思った。

 

気がつけば、私の周りに家中の猫じゃらしが落ちている。

全部トリーグルが「遊べよ」と持って来てくれたものだ。

トリーグルの遊ぶ準備は整っていた。